車業界(中古車社販)にドンドン不正のニュースが
ビッグモータ事件に端を発した車業界の話題が世間をにぎわせています。ビッグモーター事件では同社の経営陣刷新のみならず損保側も社長交代となりました。
その余波は他の大手にも及んでおり、最近では上場会社であるネクステージもネガティブ報道が出てきています。
やっぱり中古車本体よりも付帯サービス重視なんですよね。これは中古車でも新車ディーラーでも同じですが、現在車業界では装備品やコーティングや保証などのサービスで儲けないと車本体販売だけではもうやっていけないビジネスモデルなのです。
今回の一連の中古車会社のニュースは、ビッグモーター(以後:BM社)の保険詐欺からはじまり跡取り息子(副社長)のパワハラやら武蔵野さんの環境整備やら、買取詐欺ともいえる中古車業界の闇「減額」までバラされまくる事態となりました。
中古車買取による減額とは、
買い取った後でナンクセをつけて約束したお金を払わないというやつですね。たとえば「100万で買い取りますよ!」といって後から「よく見たら事故車だったから50万しか払わねーよ」という感じのやつですね。
Googleレビュー見たら、事件以前から被害の口コミがいっぱいあります。下記、Googleレビューからの参照です。
Googleレビュー見るときは「最低」で並べ替えてみましょう。真実が見えてきます。深淵を除いているとき深淵もまたこちらを覗いているのです。
車買取の減額って、じつはビッグモーターが最初じゃないんです。車業界の人ならみんな知ってると思いますけど、別の大手がこういうことやってて、それを別の大手も一斉に真似し始めたって経緯があるんですよ。
で、数年前からネットで買取減額が問題になったからこんどは買取減額保証みたいなのをオプションで数万円取るようになったのです。商魂すげーなおい。
僕ね、昔から車業界にちょっとかかわってます。むかしの大手はまだまともだった気がするんですが、この10年来大手ほどアコギな気がしてます(まぁ、もともと悪徳業者の多い業界ですけども)。不正とかあこぎなやりかたとかって、別にビッグモーターだけじゃないですよ。そもそも大手なんてビジネス構造的にグレーなとこせめていかないとやっていけないんだから。
中古車社販が不正に手を染めざるを得ない構造的な理由
これだけ大手不正が明らかになる、たぶんまだ報道されていないだけで他も似たようなことやってる。あんがい真面目にやってるのは街場の小さな中古車屋かもしれない。まぁ、業界自体が昔から玉石混合ではあるけれども。
なぜ、大手が不正に手を染めるのか。それは中古車屋はもう儲かるビジネス構造じゃなくなったからです。
なぜ、中古車屋はもう儲かるビジネス構造じゃなくなったか。
インターネットの登場が大きいです。
インターネットの登場により、ユーザーは膨大な数の車の比較検討が容易になりました。またそれに合わせるかのように遠方販売も増えました。
昔は地元くらいしか買う人もいなかったし、売る人だっていませんでした(いまでもディーラー系は遠方販売断られますし)。ユーザーの比較検討が容易になった、そして遠方販売が可能になった。全国の中古車屋がライバル化、それはつまり価格競争が激化したということでもあります。商売の常ではありますが。
そもそも昔は利幅が大きかったし、そうじゃないとやっていけない業種でもあります。毎日売れるようなもんじゃないからね。ネットの登場で価格競争でどんどん利幅低くなってきました。思い起こしてみると、テレビとかで家電の値引き交渉などが盛んに言われてた頃あたりから大きく利幅が下がってきたように僕は記憶しています。
そもそも車販は仕入れで差別化も効率化もできません
中古車屋さんの仕入れは全国で開催される業者オークションです。業者専門のヤフオクみたいなもんです。
オークションなので仕入れのスケールメリットが効きません。たとえば、スーパーなら月に10万個売れるお店と100個しか売れないお店だとおのずと仕入れ価格が違います。たくさん売るほど安く仕入れられます。でも車屋さんはオークションなので仕入れ価格は大手だろうと個人事業主だろうと基本同じです。
ある意味フェアな競争環境とも言えます。ちなみに買取車ではどの会社も車販在庫を回すことはできません。買取車の数って最大手とて多くはないのです。
大手も中小も仕入れ価格が同じだとどうなる?
大手も中小も仕入れ価格が同じだとしたら、かかる経費の多い大手の方が儲からないことがおのずとわかることでしょう。
社長ひとり店舗だったら数台売れば御の字のところ、かかる経費が膨大な大手は営業マン1人がたくさん売らないとやっていけません。広大な店舗賃料、バックヤード人件費、毎月かかる諸経費、、、など一人の営業マンに大きな利益を稼ぐことが求められるわけです。なので営業マンを追い込んでも車を売らそうとしますし、不正をしてでも足りない分を補わないといけないわけです。
そもそも車を売って儲かる時代はとっくに終わっていて付属品・付属サービス・メンテ・修理などで稼ぐモデルです。それでも稼げなかったり整備士がいなかったりで大手ディーラだとて不正に手を染めています。業界最大手のレクサスディーラーがやらかすくらいだからね。
小さい個人店ならまだ車販だけでもやり方次第だけど、大手化するにはきびしい業界だと思います。
もう車販売自体が儲からない業種になっているんです。若者はドンドン減っていくし、人口の大多数を抱える都市部では車って必要ないしね。カーシェアも便利ですもん。
車販業者が生き残る・勝ち残るには
たぶん不正は今後もなくなりません。不正というか不誠実というか、ユーザーにとっての不利益ってなくなりません。
最近の中古車販売のボッタくり手口として車体価格を安くして諸費用でボッタクるというのが主流でしたが、2023年10月から諸費用込めた総額表示が義務付けられます。しかしながらボッタくりはなくならないでしょう。総額表示しつつ、強引な店舗監禁営業でコーティングやら延長保証やらをつけさせるようになることでしょう。こんなのはいつも悪徳業者とのいたちごっこです。
しかしながら、今回の件や、Googleレビューの世間的浸透などもあり、悪徳業者のはびこる余地はドンドン少なくなってきています。逆に言えば、まじめにやっている業者さんには大いにチャンスがあります。仕入れコストは大手と同じ、整備だってやることは同じ、違うのはブランド力(信頼感)だけ。ならば信頼感をつけていけばいいだけです。ブログで、X(旧Twitter)、Youtubeで、と今はいろんな方法があります。関西のとある車屋さんは3人でYoutubeで1億やりました。やれるんです。不正しなくても。コストかからない小さな車屋さんならば。
ようするに情報発信ですが、これをメンドクサと思う業者が多いのでチャンスです。商品力を上げ、魅力をしっかりと伝えることができれば、ニーズのあるものは必ず売れます。小さな車屋さんのカーセンサーグー頼みからの脱却、情報発信力の強化、これだけで大手には負けない勝ち残るお店作りが可能かと思います。
とりあえず、ビッグモーター関連の一連のニュースで大手は変わらざるを得ないでしょう。ニュース以前から赤字だったネクステージやガリバーも今後どうするんでしょうか。車販じゃ生き残れない、付帯も売れないとなると何をひねり出してくるのか。そのスキを中小はついてこれるのか。車業界がどう変わるのか今後大いに楽しみではあります。
ご参考になれば。